脳梗塞

脳梗塞

梗塞とは血管が詰まり、血が流れなくなることを言います。
脳細胞は血液内の酸素やブドウ糖を常に必要としており、完全に血流が途絶えた場合、数分で脳細胞は壊死してしまうと言われています。
完全に血流が途絶えていない場合でも、必要な量の酸素とブドウ糖が供給されない限り、脳細胞は障害され続けてしまうため早急に治療を行っていく必要があります。

突然発症した「構音障害」「半身の麻痺やしびれ」「ふらついて歩くことができない」などの症状が出現した場合は、様子を見るのではなく、速やかに救急車を呼ぶことが重要です。
最近は血栓溶解療法(薬で血栓を溶かす)や血管内治療(カテーテルで血栓を除去する)などの治療方法が進化しているので、ためらわす救急車を呼んでください。

脳梗塞は大きく、「心原性脳塞栓症」「アテローム性脳梗塞」「ラクナ梗塞」に分けられます。

「心原性脳塞栓症」とは心房細動などの不整脈や心筋梗塞などにより心筋の動きがおかしくなることにより、心臓内に血栓とよばれる血の塊(かさぶたのようなもの)ができ、それがひょんなことで脳まで飛んでいき、血管に詰まることで脳梗塞となります。血栓の量や大きさにより詰まる血管が異なるのですが、多発脳梗塞や巨大な脳梗塞となることがあり、大きな後遺症となることも多いです。
心房細動と呼ばれる不整脈や心臓の動きが悪く血栓の危険性がある場合は、抗凝固薬と呼ばれる血をサラサラにする薬を飲み、予防を行います。

「アテローム性脳梗塞」とは動脈硬化による脳梗塞です。アテロームとは高血圧や糖尿病、高脂血症などにより、血管の内壁に脂肪や炎症性の細胞集まり、固まったものです。何らかの拍子にアテロームが崩れ、飛び散ることにより脳梗塞となります。MRIで評価すると、動脈硬化により脳血管がとぎれとぎれになったり、ギザギザとした走行となっています。
治療としてはアスピリンなどの抗血小板薬と呼ばれる血をサラサラにする薬を飲むことはもちろん、生活習慣病の治療を行っていきます。

「ラクナ梗塞」とは穿通枝と呼ばれる細い血管による脳梗塞です。小さい脳梗塞となりますが、部位によっては麻痺やしびれ、認知症などを引き起こします。高血圧が原因とされています。
治療としては抗血小板とよばれる血をサラサラにする薬と高血圧の治療を行っていきます。

その他の脳梗塞としてBAD(Branch atheromatous disease )があります。日本語ではまだないのですが、なかなかたちの悪い脳梗塞として有名です。
基本的に脳梗塞は発症時が最も症状が重く、時間経過とともに症状が改善してくることが多いです。しかしBADでは発症時はむしろ軽度で、徐々に悪化してくるという特徴があります。人によっては良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に悪化していきます。MRIでも時間経過とともに徐々に脳梗塞の病変が巨大化していきます。大体1週間位症状が進行し、その間に完全麻痺となった場合はリハビリが長引き、後遺症が残存する印象があります。半数位の方はそれほど症状が進行せずに済みます。
現時点ではなかなか治療法がなく、抗血小板薬や抗凝固薬、高脂血症薬、脳保護薬などを組み合わせて少しでも症状の進行を抑えるように治療を行うことが多いと思います。

脳梗塞は一度発症すると再発する可能性が高い(年間5%ほど)とされており、一生、生活習慣病の是正や血をサラサラにする薬など内服しなければなりません。
しかしどんなに治療を行っていても再発しうる(年間1.5%ほど)疾患であり、付き合っていくことが必要です。

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