片頭痛は日常生活に支障をもたらす頭痛で最も頻度の多いものです。
偏頭痛と書かれれていることも多いですが、片頭痛が医学的に正しいとされています。
もともとは頭の片側だけの痛みとされ、片頭痛と名付けられましたが、今では片頭痛は両側の頭痛となることもよくあります。
片頭痛の特徴として最も重要なことは動きにより頭痛や嘔気が強くなり、日常生活に支障をもたらすことです。
それに伴い、視覚障害などの前兆、肩こり、眠気や倦怠感、光過敏、音過敏などの多彩な症状が出現します。
目の前にちかちかする歯車のようなものが見える、視野が欠けるなどの前兆があれば、より片頭痛らしいと考えますが、前兆のない片頭痛もあります。
女性の場合は月経周期に連動して片頭痛がでることも多いです。
以下に典型的な片頭痛の経過を書きます。
- なんとなくの倦怠感や肩こり、イライラなどを感じる(予兆といいます)
- 顔面などがむくみ、メガネの鼻パットがきつく感じる(浮腫期)
- 目の前にちかちかと光る歯車のようなものが見え、次第に視界から消えていく。同時に視野が欠け、ものが見えにくくなる(前兆)
- 片側(両側のこともある)がズキズキと拍動性に頭痛が出現し、吐き気を感じる
- テレビや電灯などの光がまぶしく感じ、音などが耳障りと感じる(光過敏と音過敏)
- 仕事などの体動により頭痛や吐き気が増強する
- 暗く、静かなところで横になって眠りたくなる
- ひと眠りしたり、時間が経過すると頭痛が改善する
- 尿がいつもより多量にでて(利尿期)、回復する
片頭痛の回復までは4~72時間とされており、頭痛が3日ほど続くこともあります。
このような頭痛があるときは片頭痛が考えられますので、医師に相談をしていただければと思います。
これ以外にもめまいや複視、麻痺を生じる特殊な片頭痛もありますが頻度は少ないです。
基本的には前兆の段階で、NSAIDなどの痛み止めを内服し、それでも頭痛が出るようなら早めにトリプタン系を内服します。
最近は片頭痛の痛みを抑える薬や、片頭痛の予防薬も様々にあります。漢方薬の有効性も言われております。是非とも専門家に相談いただければと思います。
片頭痛でよく使う薬一覧
トリプタン系(片頭痛で頭が痛いときに早めに内服する鎮痛薬。時に一時的な胸の圧迫感を感じることがある。)
- イミグラン:内服だけでなく、点鼻薬や自己注射などの形態があり、嘔気で内服ができないときでも使える
- マクサルト:効果発現までの時間が短い
- アマージ:女性の月経に伴う片頭痛に効果的とされる。作用時間が最も長い
- ゾーミック:効き目は強いが、倦怠感や嘔気などの副作用も出やすい印象がある
- レルパックス:副作用が最も出にくい印象がある
ジタン系(新しく使えるようになった、片頭痛急性期の薬剤)
- レイボー:飲むタイミンが遅くなっても鎮痛作用が期待できる。眠気やめまいの副作用がでることがある。
予防薬系(片頭痛の頻度を下げ、発作時の痛みも和らげる)
- デパケン(バルプロ酸):てんかんにもよく使う薬。脳を休ませる作用があります。若い女性には妊娠・出産に注意が必要です
- ミグシス(ロメリジン):血管拡張作用があります。効果発現まで時間がかかります
- インデラル:降圧作用や手の震えを抑えるときにも使います。妊娠女性でも使うことがあります。どうしても片頭痛の発作が抑えられないときに使うと効果があることがある印象です
- その他、カンデサルタン(降圧薬)、トリプタノール(抗うつ薬)、オノン・シングレア(気管支喘息の薬)、ペリアクチン(抗アレルギー薬)なども使うことがあります
新規予防薬(CGRP阻害薬と呼ばれる、新しい機序の片頭痛の予防薬です)
- エムガルティ:月1回、皮下に自己注射する薬です
- アジョビ:月1回投与することもできますが、3ヵ月分を1度に投与することも可能です
- アイモビーグ:注射時の痛みが少ない