感冒・風邪は一般的な症状であり、病院にかかったり、市販薬を買い求めることも多いと思います。西洋医学的にはこれらを治す薬はほどんどなく、対症処療法をしているのが現状です。つまり、咳があるなら咳止めを、熱があるなら解熱薬を、おなかが痛かったり、下痢があるなら整腸剤を出すことしかできません。総合感冒薬、風邪薬はこれらの対症療法の組み合わせとなります。
東洋医学では免疫力を高めたり、発汗を促すことで体温調節を行うことを目標として治療を行います。個人的には正直、漢方薬の方が「証」に合うならばよっぽど効果があると思います。
以下に感冒・風邪によく使う漢方薬を書きますが、いずれにしても薬をのんでゆっくりと寝ることが重要です。
- 葛根湯(風邪に葛根湯と言われるほど、よく使われる漢方薬です。7割の人に効果あるといわれており、体調が悪いと言われたらとりあえず出しても、大体は効きます。熱があるのに汗をかいておらず、首から肩付近に凝りがあるときに効果あるとされます。)
- 麻黄湯(小児の発熱によく使います。発熱とともに関節痛があるときに効果があるとされます。インフルエンザの場合はタミフルⓇと同等の効果があったといわれています。)
- 小青竜湯(水っぽい鼻水が出てくるような感冒に使います。アレルギー性鼻炎にもよく使います。)
- 越婢加朮湯(汗が出て、口が渇き、尿が出にくく、むくみがあり、痰が多いときに使います。)
- 麻杏甘石湯(汗があり、口が渇き、咳が出て、顔が赤いときに飲みます。)
- 五虎湯(麻杏甘石湯よりもせき込みが激しいときに使います。)
- 桂枝湯(感冒があり、汗をかいているときに使います。)
- 柴胡桂枝湯(感冒が長引き、のぼせが出ているようなときに使います。)
- 半夏厚朴湯(喉に痰がこびりつき、なかなか取れないときに使います。)
- 柴朴湯(半夏厚朴湯に似ていますが、より長期に喉の違和感が続いているときに使います。)
- 麦門冬湯(感冒の後も、長期間乾いた咳が続くときに使います。)
- 補中益気湯(感冒後、体力が低下し、元気がないときに使います。)
- 竹筎温胆湯(咳が出て、夜が寝られないときに使います。)
- 麻黄附子細辛湯(体力が低下した方の感冒の急性期に使います。鼻水もあればなおいいです。)
- 真武湯(葛根湯の症状に似ますが、より体力がないときに使います。)
- 桂枝加葛根湯(感冒の急性期で、汗があり、肩から首が凝っているときに使います。)
- 滋陰降火湯(喉がてかてかと光って、咳が出て喉が痛いときに使います。)
- 滋陰至宝湯(感冒がなかなか治らず、しつこい咳が出て、食欲が低下しているときに使います。)
- 小柴胡湯(感冒の急性期が終わった後も、感冒の症状が続いているときに使います。)
- 小柴胡湯加桔梗石膏(風邪が長引き、喉が痛いときに使います。最近では葛根湯との併用でコロナ感染症に効果があるのではないかともいわれています。)
- 参蘇飲(胃腸が弱い人で、感冒の症状が長引きやすい人に使います。)