認知症がヨーグルトで軽快する?
以前から腸内環境と神経疾患は関連があるのではないかと言われていました。
パーキンソン病や多発性硬化症といった疾患では腸内環境が悪いのではないかと言われています。
今回は腸内環境と脳機能(特に認知力)に相関があることが近年の研究で明らかになったという論文となります。
まず、マウスの実験では抗菌薬を用いて、腸内の善玉細菌を除去することで認知機能が低下することが示されています。人間でも認知症患者は健常者と比べて、バクテロイデス門の細菌が少なく、アンモニア増加し、乳酸減少していると言われています。
実験として、軽度認知障害の患者130人に対し、24週間にわたり、ビフィズス菌200億個含む粉末 vs プラセボ(偽薬)を毎日摂取してもらい、8週ごとに認知機能を測定してみたようです。
結果としてビフィズス菌摂取群で、見当識(今いる状況を正しく把握する力)が有意に改善し、脳の萎縮進行が抑制されています。
またこの文献だけで、認知症の人や軽度認知障害の人で整腸剤を飲むべきとは言い難いですが、ビフィズス菌などのプロバイオテックスの接種が認知機能の維持や改善に有効である可能性が示唆されています。
参考文献
Tamada H et al., Frontiers in Neuroscience 16, 882339, 2022.
Asaoka D et al., Journal of Alzheimer's Disease 88, 75-95, 2022.