周辺症状(BPSD)への対応

周辺症状(BPSD)への対応

BPSD(Behavioral and psychological symptoms of dementia )は日本語では認知症の周辺症状と言われています。
認知症の中核症状は記憶力の低下であり、失認や失行、言語障害などを伴います。
BPSD(周辺症状)とはそれ以外の症状であり、精神症状(不安、抑うつ、幻覚、妄想、易怒性、焦燥感など)や行動症状(徘徊、暴力、不潔行為など)とされています。

中核症状は脳の変性により徐々に脳機能が低下することにより出現します。
それに対しBPSDは環境要因(疎外感などの居心地の悪さ、慣れていない場所など)、身体要因(体力の低下、体調不良、薬剤による眠気など)、心理的要因が組み合わさって出現します。

正直なところ、家人などの周りの人は認知機能低下よりもBPSDの方で困ることの方が多いです。
上記に書いたように複合的な要因で出現しますので、薬で対応することが困難なことも多いです。
特に行動症状に対してはこれといった薬はあまりありません。

ただ、BPSDを対応するにあたり、最も大事なことは「認知症の方はうそをついていない」ということだと思います。
認識が間違っていたり、あきらかな幻覚であったとしても、その方には悪意はなく、本当に思っていることを言っているのです。そのことを言うということは何か原因があるのです。

実例としては下記のようなものがありますが、様々な症状が出現します。
個々人により対応策などが異なりますので、困るような症状があるときは、医師に相談していただければと思います。

・尿意の訴えが頻回にあるが、実際にトイレに連れて行っても尿はごく少量しか出ない。少し経つとまた尿意の訴えがある。
 ⇒実際には尿がほとんどでなくても、患者さんは尿意を感じており、トイレに行きたいと訴えています。いわゆる「過活動性膀胱」の状態であり、膀胱の緊張を取る薬などを考慮することとなります。

・夕方になると自宅に帰りたいと訴え、外に出ていこうとする。 
 ⇒「夕暮れ症候群」と呼ばれる症状となります。自分の家に住んでいたとしても本人にとっては「居場所がない」、「居心地が悪い」と感じており、もっと心休まるところに行きたいと考えています。自分だけの役割(仕事)などが見つかり、必要とされているという充実感などを感じるようになれば、なくなっていくことが多い印象です。

・幻覚が出ており、部屋に知らない人がいるという。
 ⇒幻覚は認知症の中でもレビー小体型認知症でよく見られます。レビー小体型認知症で見られる幻覚はかなり生々しく、ありありとした幻覚と言われています。触ろうとすると消えてしまうことが多く、家族の方が触ろうとして消えると、本人も幻覚だったと納得することが多いです。幻覚を抑えるような薬もあり、幻覚で困るようなら医師に相談をしていただきたいです。

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